金津沙矢香さんの工房訪問レポート

金津沙矢香さんのガラス

金津沙矢香さんのガラスうつわ

富山県富山市で制作されているガラス作家・金津沙矢香(かなづ さやか)さんの工房へ取材に伺ってきました。
この記事では、金津沙矢香さんご本人の経歴やガラス作品、工房についてご紹介します。

金津沙矢香さんが作業している「富山ガラス工房」

金津沙矢香さんが制作される富山ガラス工房

まず伺ったのは、「富山ガラス工房」。

ショップとカフェを併設しているガラス工房。
ガラス工房のスタッフさんが作業されている様子も見学できます。

併設されたカフェ「glass cafe Clie(クリエ)」でまずはお話を伺いました。
カフェの店内は全面ガラス窓で明るく透明感があるおしゃれな空間。
フードメニュー・スイーツ・ドリンクと豊富なメニュー。
お水はセルフサービスなのですが、ガラス工房で作られたグラスを選んで使うことができます。

奥のスペースはレンタル工房になっており、同時に4組作業できるスペースがあります。
金津沙矢香さんも、ここで吹きガラスをしたり、別室で削りや磨きの作業を行っています。

ちなみに、別棟の建物ではガラスの制作体験もできるんですよ。

金津沙矢香さんの作品について

金津沙矢香さんのガラス作品

金津沙矢香さんのガラス作品は主に6種類あります。

器類は、デザインやサイズ感などを特に意識して作られるそう。
特に新しく作る際には、実際にご自身でも使って使い勝手を確かめながら作り上げています。

また、「割れにくいようにあまりピンピンに薄くはしないです」とお話してくれました。

以下、シリーズごとにご紹介しますね。

「百花景(ひゃっかけい)」シリーズ

金津沙矢香さんの百花景シリーズ

器の底に絵付けがしてあり、飲み物を入れると絵が浮かび上がるような不思議な器。

画像は、絵付け前の制作途中のグラスです。
底を削って模様を描き、削った部分にエナメルで絵付けし、焼き付けて仕上げます。

側面も削りなどの細工を施すので、とっても手間のかかる作品ですね。

「風景のドローイング」

金津沙矢香さんの風景のドローイング

透明の粉ガラスを付けて吹いたガラスを、削ったり磨いたりして模様を描いているシリーズ。
粉ガラスにより白くなった表面を削り、再加熱することで削った部分は透明になります。

金津沙矢香さんの風景のドローイング

こちらは制作途中の様子。

手前のカップでいうと、斑模様に見える部分が削ったところ。
焼成後に、この斑部分が透明になります。

白い部分は色ガラスではなく透明の粉ガラスなのですが、気泡や光の反射で白く見えるんだそう。

「Nostalgia(ノスタルジア)」シリーズ

金津沙矢香さんのノスタルジアシリーズ

切子模様の部分に、エナメル絵具で着色したシリーズ。
着色後に、焼き付けて完成します。

アスタリクスやお花模様など、さりげないけど可愛らしいデザイン。

こちらのストレートグラスは気泡も入っています。
よりいっそう、涼しげな印象になりますね。

「金彩シリーズ」

金津沙矢香さんの金彩シリーズ

口元に金彩を施したシリーズ。
シンプルだけど金彩がアクセントになっていて、とってもおしゃれです。

こちらも細かな気泡が入っているので涼しげで、味わいもありますね。

「スノードーム」

金津沙矢香さんのスノードーム

いつかどこかで見た、そんな風景が描かれた素敵なスノードーム。
絵具で絵付けをし、カッターで絵具を削り取りながらひとつひとつ、手描きで風景を描いています。

学生のころ、油絵を先行していたという金津沙矢香さん。
その経歴を伺って、こういったデザインのセンスのルーツがわかったような気がしました。

「アクセサリー」

金津沙矢香さんのアクセサリー

ガラスの粒を削ってたり、絵付けをしたアクセサリー。
イヤリング・ピアス・ネックレス・ブローチなど。
オーナメントも作られていますよ。

画像は、アクセサリーに使うガラスの粒のパーツ。
この粒を溶着したりつなぎ合わせてアクセサリーなどの小物ができあがります。

金津沙矢香さんのご自宅内の工房

金津沙矢香さんのご自宅内の工房

 
ご自宅内にも、工房があります。
2ヶ所のスペースがありましたが、こちらは主に絵付けやアクセサリーの制作をされる場所。

制作に使われる道具や、作業途中の作品などが整然と並べてありました。
他にも、本やDVD・お気に入りの作品などが飾ってあり、まるで秘密基地のようなワクワクする空間でした。

作家さんの工房や作業場に伺うと、ここからあんな作品やこんな作品が生まれるのだなぁと感慨深い気持ちになります。
また、作家さんの新たな一面も見れるような気がして、いつも楽しいのです。

金津沙矢香さんについて

金津沙矢香さんについて

金津沙矢香さんが最初にガラスに触れたのは、幼少のころ家族旅行で出掛けた北海道の小樽。
ガラスの制作作業を見学され、その時に憧れを抱いたそう。

大学の在学中、ガラス教室に通い始めたことがきっかけで、ガラスの道への想いが再燃。
大阪のガラス工房「Fresco(フレスコ)」のオーナー辻野剛さんが当時運営されていたガラス教室だったそうですが、通われている生徒さんが本当に楽しそうに制作をされていたことが大きかったそう。

その後、瀬戸の新世紀工芸館を経て、富山ガラス造形研究所へ。
卒業後、5年間スタッフとして富山ガラス工房に所属し、2009年に独立されました。

現在は、クラフトフェアまつもと灯しびとの集いなどのクラフトイベントの出展や、各地での展示会を中心に活動されています。

金津沙矢香さんのプロフィール

1976年
三重県生まれ
1999年
近畿大学文芸学部芸術学科 卒業
2003年
富山ガラス造形研究所 卒業
2004年~2009年
富山ガラス工房所属
2009年4月
独立 フリーとして活動

金津沙矢香さんの受賞歴

2000年
雪のデザイン賞 銅賞
2010年
ほぼ日作品大賞 大熊健郎賞

金津沙矢香さんの出展歴

金津沙矢香さんのブログ・SNS

金津沙矢香さんのホームページ・SNS

美しい作品が楽しめる金津沙矢香さんのインスタやブログも必見です!
最新の情報はブログよりもインスタグラムの方が展示会や作品の情報量が豊富ですので、いち早く展示会などの情報が欲しい際はインスタグラムを確認いただくのが良いと思います。

金津沙矢香さんのブログ・SNS

金津沙矢香さんのブログ
http://sayakakanazu.lomo.jp/blog/
金津沙矢香さんのインスタグラム
https://www.instagram.com/sayaka_k_51/

金津沙矢香さんのイベントのピックアップ

  • ガラスのうつわ展2019 Autumn

    ガラスのうつわ展2019 Autumn

    日時
    2019/9/14~2019/9/20
    会場
    和食器セレクトショップflatto/滋賀県大津市
    出展
    とりもと硝子店・サブロウ・宮下万里・金津沙矢香

富山のガラスの歴史について

富山のガラスの歴史

現在、全国各地の学校でガラス制作を学ぶことができますが、富山市には全国で唯一の公立のガラス専門学校である「富山ガラス造形研究所」があります。
それもあって、富山にはガラス作家さんも多く、ガラス工業が盛んです。

その始まりは、300年以上の歴史がある富山の産業のひとつである「売薬」だそう。
明治・大正のころには、ガラスの薬瓶の製造が盛んで、戦前には富山駅周辺を中心に、炉をつガラス工場が10社以上あったそう。

そこから、市を挙げてガラス工芸を盛り立てようとなり「ガラスの街とまや」への取り組みがスタートしました。

まとめ

金津沙矢香さんのガラス

flattoのある大津市北比良から、片道3.5時間の日帰り弾丸ツアーとなった金津沙矢香さんとサブロウさんの工房訪問。
ガラス工房に併設されているカフェでのお話を終えたあと、サブロウさんの新しい工房へ金津沙矢香さんとともにおじゃましました。

お2人は研究所の同期であり、富山に拠点を構えてガラス制作を続けている仲間でもあります。
作家さん同士のより専門的なガラストークは、大半がわからないことだらけでしたが、とにかくお2人のこだわりや制作におけるアイデアがすごい!ということはわかりました。

金津沙矢香さんとは、昨年秋に大阪・堺市であった「灯しびとの集い」でお会いした以来でしたが、とても柔らかい雰囲気で話しやすく、とても楽しいひと時でした。
また、こうしてゆっくりお話を伺えたことで、制作のこだわりや、ガラス作家としての道を歩むことになったきっかけも知ることができました。
お話を伺う中で、柔らかさの中にある、金津沙矢香さんの強い芯が垣間見れたように思いました。

普段の食卓を優しく彩ってくれる、金津沙矢香さんのガラス作品。
9月の企画展では様々なシリーズのアイテムを色々とご用意いただく予定です。

また改めて展示のご案内もご紹介しますので、どうぞお楽しみになさってくださいね。


和食器セレクトショップ flatto(フラット)

  • TEL:077-576-3174
  • 住所:〒520-0503 滋賀県大津市北比良1043-62
  • OPEN/CLOSE:11:00~17:00
  • ホームページ:https://flatto.jp/