野村佳苗さんの工房訪問レポート

野村佳苗さんの器

この度新たにflatto(フラット)でお取扱いさせていただくこととなった、【野村佳苗(のむら かなえ)さん】の工房に取材に伺ってきました。

野村佳苗さんの工房へ

野村佳苗さんの工房付近の風景

ご自宅兼工房があるのは湖南市の山裾に広がる、のどかな住宅地の一角。

ちなみに湖南市は、滋賀県南部の甲賀地域に位置しています。
市内には本堂や三重塔が国宝に指定されている善水寺・常楽寺・長寿寺があり、この3つの寺院は「湖南三山」としても有名。

工房はもともとはお祖父さまが住んでいたところで、野村さんご自身も幼少期を過ごした思い出の地でもあります。
すぐ近くには田園風景が広がり、とても景観の良いところでした。

工房内の様子

 

野村佳苗さんの工房

もともと作業場として使われていたという工房内には、ロクロ場や道具のほかに制作途中の器や試作の器、自作の石膏型などが整然と並んでいました。

ものづくりに対する憧れの強いわたくし、作家さんの工房にお邪魔するときは何ともいえないワクワク感があります。
『この場所でこの道具を使って、こんな風に制作されているのかなぁ~』などと、想像するだけで楽しくなってしまいます。

野村佳苗さんの作品について

野村佳苗さんの器

釉薬を用いて色付けをした「麦藁手(むぎわらて)」から渋めの「錆緑釉(さびりょくゆう)」、耐熱の器に絵付けの器と、様々な器を制作している野村佳苗さん。
その幅広いバリエーションも魅力の一つ。

そんな野村佳苗さんの器の、主なシリーズをご紹介します。

櫛目(くしめ)シリーズ

野村佳苗さんの櫛目向付

手作業で彫り模様を施した「櫛目(くしめ)」シリーズのうつわ。
一本ずつ、何重にも彫りを入れることで櫛目を表現しています。

カラーバリエーションは、飴釉・黄桑釉・碧織部釉の3色展開。

麦藁手(むぎわらて)シリーズ

野村佳苗さんの麦藁手の器

パッと目を引く優しい色づかいが可愛らしい麦藁手(むぎわらて)シリーズ。
絵具ではなく釉薬を用いて着色しているため、釉薬の濃淡や流れで表情が生まれ、とても味わいのある風合いが魅力的です。

レトロ調の雰囲気もあり、何とも言えない可愛らしさがあります。

錆緑釉(さびりょくゆう)シリーズ

野村佳苗さんの錆緑釉の器

所々に錆びたような風合いが見られる、深いグリーンのうつわ。
錆の景色は一枚ずつ異なり、釉薬の濃淡や流れで見られる表情も味わいがあり、和洋問わずどんなお料理も引き立ててくれるうつわです。

琵琶緋色(びわひいろ)シリーズ

野村佳苗さんの琵琶緋色の器

琵琶湖の水草を使ったシリーズ。

素焼き前の生地に乾燥した水草をつけて焼いています。
そうすることで、水草に含まれるアルカリが土に含まれる鉄分を引き出し、器の表面に緋色が生まれるのです。
また、本焼きの際には琵琶湖で採れた貝の貝殻を付けて焼いてあり、貝跡も味わいを見せてくれています。

画像の丸い赤みのあたりが貝跡ですが、貝殻が強めについていると白っぽい跡が黒っぽくなったりもします。

絵付けの器

野村佳苗さんの絵付けの器

愛らしいタッチやレトロ調の動物を描いたり、古陶器のような風合いの絵付けだったりと絵付けの雰囲気も様々。

今秋にflattoの実店舗で開催予定の個展では、flattoの店舗がある比良(ひら)の動物をモチーフにした絵付けの器も登場の予定です。

野村佳苗さんについて

野村佳苗さんの制作中の器

学生時代を東京で過ごした野村佳苗さん。
文学部を専攻しており、卒論でフランスの文化について調べている中で焼き物にすっかりはまってしまったそう。

大学をご卒業後、京都府立陶工高等技術専門校へ。
その後京都の工房にて6年ほど職人としての経験を積み、2017年に独立しました。

『作家としてはまだまだ駆け出しです』とおっしゃる野村佳苗さんですが、6年間の職人経験で積んだ確かな技術と、好奇心旺盛な性格で次々と新しい作品を生み出していらっしゃいます。

心に留まった作品をプリントアウトし、作品作りの参考にとファイリングしていたりと、とても意欲的でこれからの成長がますます楽しみな若手作家さん。
真っすぐで実直なお人柄も、魅力のひとつだなぁと感じます。

野村佳苗さんのホームページ・SNS

野村佳苗さんの白い器

ホームページでは作品の紹介や、イベント出展などのお知らせもされています。
インスタグラムでは、ご自身の器を使ったお料理写真も楽しめますよ。

野村佳苗さんのホームページ・SNS

野村佳苗さん(「うつわのむら」)のホームページ
http://www.utuwanomura.com/
野村佳苗さんのインスタグラム
https://www.instagram.com/utuwanomura/

まとめ

野村佳苗さんの工房内の日本庭園

敷地内には、立派な日本庭園がありました。

信楽にもほど近い湖南市では、昔は優質な土が取れたとか。
そういった背景もあり、庭の土を混ぜ込んだ「三雲荒土」シリーズも制作されていらっしゃいます。

オリジナリティの高い「三雲荒土」は、少し粗目のゴツゴツとした風合いで土の味わいがより楽しめるシリーズです。

また、お庭の奥には小さな畑も。
お野菜も作られているとのことで、豊かな自然の中で制作も、日々の暮らしも楽しんでいる様子が伝わってきました。

常に新しいことを吸収して、どんどん新しいものを作ろうとされている野村佳苗さん。
それも、楽しみながらされているように見え、お話をするたびにこちらまでワクワクと楽しい気分になってきます。

たまたまお客さまとして店舗にお越しいただいたことがきっかけでお取扱いをさせて頂くこととなったのですが、この度のご縁が本当にありがたく思います。

来月9月26日からの個展についても、また近いうちにご案内の予定です。
どうぞ、お楽しみにお待ちくださいね。


和食器セレクトショップ flatto(フラット)

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