武曽健一さんの工房訪問。

こんにちは。
和食器の通販・セレクトショップflatto(フラット)店主の歩未です。

この週末、大寒波の影響で京都でも土曜から月曜の晩まで雪が降ったりやんだり。
我が家は山際で少しだけ標高が高いこともあってか日陰のところなどはまだ少し雪が残っています。
雪が降るのは一年に一度あるかないかのことなので、近所のお宅でも競うように雪だるまが作られていて子どもたちはみんな大喜びだったようです。

さて、この大寒波の中、我が家が何をしていたかと言いますと…
新しくお取扱いをさせていただけることになった北陸方面の作家さん方とのお打ち合わせのため、福井、そして金沢へ泊まりで出掛けておりました!

暴風雪との予報が出ていて、長野出身で雪道には慣れているとはいえ、少し(だいぶ?)ドキドキしながらの決行!

土曜の朝に出て、まずは福井の武曽健一(むそけんいち)さんのご自宅兼工房へ。

武曽さんとの出会いは昨年の「越前陶芸まつり」にて。
(リンク先は、その時のレポートの記事です)

武曽健一さんの和食器

【武曽健一さんの和食器】

滋賀の彦根を過ぎたあたりから雪が降り出し、道路は除雪されて雪がないものの、あたりの景色はどんどん真っ白の雪景色に。

名神高速道路からの雪景色

【道中の雪景色 その1】

たくさんの雪を見るのが初めてな次女は「ゆち!ゆち!」と大興奮でした。

途中、滋賀県長浜市の賤ヶ岳サービスエリアで早めのお昼を済ませました。
ここのフードコートは、山小屋風の店内でなかなかおしゃれな雰囲気でしたよ。

滋賀県長浜市の賤ヶ岳サービスエリア

【賤ヶ岳サービスエリア】

賤ヶ岳サービスエリアの鴨そば

【お昼に食べた鴨そば】

画像が店内ではなく、景色と鴨そばですみません(^_^;)
さて、旅は続きます。

北陸自動車道からの雪景色

【道中の雪景色 その2】

福井に入り、インターを降りてから30分ほどで武曽さんのお宅に無事に到着したのですが、なかなかの山あいで20cmくらいは雪が積もっていたのではないでしょうか。

さっそく工房におじゃまして、あれこれとたくさんお話を伺ってきましたよ!

武曽健一さんのご自宅兼工房

【武曽さんのご自宅兼工房】

※小さく写る子どもは、途中たいくつに我慢できず夫を連れ出して雪遊びする長女です。

武曽健一さんの印花ちょこフリーカップでコーヒーと紅茶を出していただきました。

武曽健一さんのカップでコーヒー

【武曽健一さんのカップにいれていただきました】

そして、お茶うけのお菓子まで!

福井の水ようかん

【お茶うけの水ようかん】

聞くと、福井では冬に水ようかんを食べる習慣があるのだとか。
『あまり日持ちしないので夏は出回らないのかも』と武曽さんがおっしゃっていましたが、後日調べてみたら、福井の水ようかんは一般的な練ようかんよりも糖度が低く作られており、日持ちがせず冷蔵が必要ということ。

冷蔵庫がなかった時代には室外の廊下や納屋を冷蔵庫代わりとして食料を保存していたわけですが、福井の冬の気温は0~10度で、室内温度も10度台。
そんな環境もあり、福井には冬に水ようかんを食べる風習ができたのでは、とのことでした。

言われてみたら、確かに甘さ控えめで食べやすかったです。子どもたちも喜んで食べていました(^―^)

お茶をいただきながら色々とお話を伺ったのですが、色々と写真も撮らせていただいたのでご紹介しますね。

武曽健一さんの工房にて

【工房内に展示されていたうつわ】

武曽健一さんの印花の器

【印花小鉢とマグカップ】

手前に写っている小鉢は陶器まつりで購入させていただき、注文もしていた器です!
お花の模様が可愛らしく、優しい黄色の色味もとっても素敵で、使いやすく重宝してます♪

武曽健一さんのスープ鉢(サビ赤)

【印花のスープ鉢(サビ赤)】

こちらは印花のスープ鉢。
小さな取っ手が付いたスープ鉢で、取っ手の両端に印花の模様がついています。
こちらのサビ赤はその名の通り、金属が錆びたような風合いの色味。
今回の入荷はないのですが、夫が特にとってもお気に入りで。
渋好きさんにはたまらない逸品ですね。

武曽健一さんの絞り手の器

【絞り手のお鉢】

こちらは安南手というベトナムの焼き物の手法をもとに、武曽さんが独自にアレンジをして制作されている「絞り手」のシリーズのうつわ。

素焼きの前に土を針で削って模様を彫り、その削った部分に絵具で色を付け、さらにその上から白化粧をかけて絵具が流れるように焼き上げる染付の器です。
針で削ることにより、ヒビを出して下絵を浮き上がらせているそうですが、絵具の流れが景色になったとっても美しい器ですね。

そして、今回は器の受け取りも兼ねての訪問でしたので、こちらに写っている印花(いんか)のシリーズのちょこフリーカップや小鉢など、全部で5アイテムを各色仕入れてきました!
準備ができ次第ショップにアップしますので、お楽しみにお待ちくださいね。

話は戻って、引き続き工房内のご紹介。

こちらは武曽さんが使用してる土です。
武曽健一さんの器は、すべて越前で取れた赤土を使って作られているそうですよ。

【越前の赤土】

越前で取れるのは赤土が多いそうですが、それもあってか越前の赤土を使っている福井の作家さんのうつわは粉引が多いそうで。
武曽さんの白い器も粉引なのですが、白以外の器も発色を良くするために、下地として化粧をかけているそうです。
そのひと手間があって、この優しい雰囲気の色味がきれいに出ているんですね。

それから、印花の器の花の模様をつける作業も少しだけ拝見させていただきました。
ろくろをひいた後、少し乾燥させた器に一つ一つ手作業で印を押し付けて、模様をつけていくのです。

印花の器の制作風景

【印花の器の制作風景】

見ているだけでも気が遠くなりそうな作業でした。
押しすぎて指にタコができているんですよ、と笑いながら指をみせてくださったのですが、右手の中指の第一関節のあたりに、なんとも立派なタコさんがいらっしゃいました。

使用してる、お花の印もみせていただきました。

印花のはんこ

【手作りの花の印】

こちらはろくろの作業場。

武曽健一さんのろくろ場

【ろくろ場】

道具などがきれいに整頓されていらっしゃいました。

お話の中で、陶芸作家になったきっかけも伺いました。
高校の卒業とともに大阪に出られ、学校を卒業されたのち、そのまま大阪で会社員としてお勤めしていたそうですが、大人になってから地元に戻った際、福井には陶芸を始め、漆器・和紙・打ち刃物など、様々な伝統産業がたくさんあることを知り、ものづくりの道を目指されたそうです。

あちこちの産地を巡る中で、陶芸教室の作品展に出かけた際、たまたま声をかけられて陶芸教室に入ったことがきっかけで陶芸の面白さを知り、陶芸の道を目指すことになったそうです。

いつも作家さんに陶芸の道に進んだ理由もお伺いするのですが、偶然に出逢って、なんて声もちらほら伺うのですが、きっとなにか、ご縁があったんだろうなぁといつも思うのです。

2012年に「花虎窯 武曽健一」として独立し、作陶されている武曽さんですが、ご自身がコーヒー好きということもあり、マグカップなどのラインナップが多いそう。
自分が休憩の時間が好きなので休憩の器が多いんですよね、と冗談交じりで話してくださったのですが、こんなに手間のかかる器をずっと作られていたら、それは休憩も取らないとやっていられないだろうなぁと思った、同じく休憩好きの店主なのでした。(笑)

また、印花のうつわはカラフルで模様もあるシリーズなので、食卓を華やかにできたらいいなぁと思っています、と語ってくれた武曽さん。

そんなこんなで、時々子どもたちに遮られながらのインタビュ―でしたが、気付けば3時間近くお話をさせていただいておりまして!!

お忙しい中、貴重なお時間をたくさんいただき、本当にありがたかったです。

帰る頃には車に雪が積もり、溶けた雪は凍ってつららまでできていました。
大阪出身でつららになじみのない自称「つららフェチ」の夫は大興奮で、車のつららと武曽さん宅のつららをいつの間にか写真に収めておりました。

つらら

【武曽さん宅のつらら】

【車にできたつらら】

武曽さんとお別れして、翌日の金沢での杉原万理江さんとのお打ち合わせのため、一行は宿泊予定の金沢市内のホテルへ。

道中は海沿いの高速道路だったのですが、激しい雪と風に、それはそれは神経をすり減らした店主でした。

そんな激しい道中を経て無事にたどり着いたホテル。
部屋からは向かいの建物?のイルミネーションが。

金沢のイルミネーション

【金沢のイルミネーション】

ほっと一息な時間でした。

長くなりましたので、「北陸の旅」続編?の杉原万理江さんのご紹介はまた後日。

そうそう、武曽さんのお人柄が伝わる、素敵なエピソードがもう一つ。
「花虎窯」の由来なのですが、おじいさまとおばあさまのお名前を一文字ずついただいてつけたそうです。
というのも、おじいさまが早くに亡くなられ、おじいさまにずっと会いたがっていたおばあさまを、名前だけでも一緒に、ということでつけたとか。
そこまで真剣につけたわけでもないのですが、なんておっしゃっていましたが、なんとも素敵なエピソードに、やっぱり武曽さん素敵やわぁと、夫婦共々ほっこりしたのでした(^―^)

そんな、お人柄も魅力にあふれる武曽健一さんの器は、撮影などで少々お時間をいただくかと思いますが、アップをお楽しみにお待ちいただければ幸いです。

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それでは、今日はこの辺で。
最後まで読んでくださりありがとうございました。